本業でも作家としても、それぞれの場面で名刺を交換しているわけですが。
頂いた作家さんの名刺を見返して常々思っていたことがあるので、ちょっと書き出してみます。

まず名刺というのは、自分がどのような仕事をしているのかを開示し、連絡先を伝えるためのものです。
言ってしまえば、仕事上の自己紹介カード。
だから会社等の組織に属している人は、会社から支給されたフォーマットの名刺である場合がほとんどです。

しかしフリーランスの場合、それを自分で考えないといけません。
特にデザイナーさんとか広告業の方とか、自身のスキルをまず相手に伝えられるのがこの名刺なわけです。
だからイラストレーターさんやデザイナーさんの名刺は、紙いっぱいにイラストが描かれていたり、ハッと目を惹くデザインだったりと、凝ったものが非常に多いです。

で、作家さんの場合。
個人的観測範囲の話になってしまうのですが、シンプルなものが多い印象です。
それこそ、一般的な会社で支給されるフォーマットのような。
特に男性作家さん。
(女性作家さんは可愛らしかったり華やかだったり、凝ったものが多いです)
正直、もったいないなぁ…と思ってます。


クリエイターにとっての名刺は、自分の分身を渡すという事と同義だと私は思っています。
それを一般的な『よくある名刺』で終わらせるのは、本当に、色々ともったいないと思うのです。


既に大ヒット作を持っていて、小説のタイトルと共に作者の名前まで有名になっている場合は、白い名刺に名前が書いてあるだけでも印象に残ります。
名前が既にブランド化してるんですね。
しかし大半の作家はそうではない。
だから、渡した相手に『印象に引っかかる何か』を仕掛ける必要があると思っています。

作家さんで多いのは、これまでに刊行した本のタイトルを記名しているパターンですね。
渡された方も、タイトルは知っていても作者名は覚えてないことが多いので、とても良いと思います。
難点は、シリーズが増える度に新しく作り直さないといけないこと。
発行スピードが早いと大変そうです。

特殊な紙を使用するのも、印象に残る一つです。
キラキラなホログラムが加工されていたり、重厚な和紙だったり、透明なプラスチックだったり。
これらの特殊紙は、渡した直後に会話のきっかけになる場合が多いです。
名刺についての会話でも『人と話したこと自体が記憶に残る』ので、これも一つの案です。

自分の好きなものを名刺に入れるのも、印象に残ります。
これは、私の今の名刺でやっています。
猫を飼っているので、猫モチーフの名刺にしているのです。
これを渡すと猫好きさんから即座に反応があるので、初対面でも非常に会話が入りやすいです。
自分の好きなもののイラストを端に小さく載せるだけでも、ぐっと会話がしやすくなるのです。
渡した人が猫好きでなくても、『福山は猫が好きな人』という印象が残せてるんじゃないかなと思います。……たぶん。
ちなみにPC版のブログのデザインは、この名刺と連動しているようなデザインです。

あとは切り抜き加工してたり、PNを連想させるイラストが載っていたり、名前が箔押しだったり、表紙のイラストをまるっと裏に使用していたり――と工夫している作家さんもいらっしゃいました。


名刺は、基本的には一人につき一回しか渡しません。
仲の良い知人同士なら「名刺のデザインを新しくしたから渡すわ」みたいになる場合もありますが、仕事の関係で会った浅い関係の人に、繰り返し名刺を渡すなんてことは普通はないです。
そもそも、一回会ったきりでその後は会わない。連絡はメールだけ――なんてパターンも多々あるわけで。


店を経営してきてしみじみと思うのは、自営業で大切なのは、人との縁だなぁ……ということ。
いつ、どこで、どんな人と繋がるかわかりません。
知らない間に、未来の仕事と関係する人と繋がっているかもしれません。
そこで自分の存在を思い出してもらえるか、「この名刺の人ってどんな人だったっけ……」と考えさせてしまうのとでは、雲泥の差があります。
たかが名刺。されど名刺。
クリエイターであるからこそ、名刺にはこだわる必要があるんじゃないかなぁ――と私は思っています。

作家さんて、小説以外で自分を主張するのが苦手な方も多いと思うのですが、そもそも名刺と言う字を良く見てみましょう。

『名』前を『刺』す。

渡した人の心に自分の名前をぶっ刺してやる――くらいの意気込みで良いのではないでしょうか。



……何か意識高い人みたいな文章になってしまった。
ちなみに私の次の名刺は、申し訳ないほど文字が超絶見えにくい代物になってしまいました。
違うんだ。こんなはずじゃなかったんだ……。

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2019.01.20