え、まだあるの? と思った方。
まだあります。
3巻のSSは没量産したのです……。
特典SSでこんなに没になった作家さん、他にいるのだろうか……(遠い目)












「いたっ!」

 小さな悲鳴を上げたエメロードに、ディオスと神獣たちは反射的に振り返っていた。
 放課後の教室で、テネルから出された課題のプリントの整理をしていたディオス。
 エメロードもそれを手伝っていた最中の出来事であった。

「どうした? 大丈夫か?」
「すみませんご主人様。ちょっと紙で指先を切ってしまったようです」

 そう説明するエメロードの指先には、うっすらと赤い線が浮かんでいた。

「うわー、地味に痛そう」
「傷は大したことないですが、指先はすぐに血が止まらないのですよね……」

 エメロードは自分の蔦で指を縛って止血しているが、傷口はなかなかに痛々しい。

「無理しないで、保健室に行ってくれば?」
「……うん……。ここは……私たちに任せて……」

 神獣たちの申し出に、ディオスも首を縦に振る。

「そうだな。サッと行ってくるよ」
「お手数をおかけしてすみませんご主人様……」
 珍しく眉を下げるエメロードを引き連れて、ディオスは教室を後にするのだった。




「失礼します」

 初めて訪れる場所とあって、ディオスはおそるおそる保健室の扉を開ける。
 だが、中からは何の返答もない。

「あれ? 誰もいないのかな」
「ご主人様。机の上に何やら伝言のようなものが」

 そちらに視線をやると、彼女の言う通り、コルクボードにメモが刺さっていた。それには『現在おやつタイムです。御用の方は職員室まで来てね☆』と書かれている。
 何というか、緩い。
 ディオスのクラスの教師テネルも相当に緩い性格だが、ここの保険医も同じような種類なのだなと、即座に想像できてしまった。

「仕方がないな……。職員室まで行ってくるよ」
「いえ、先生のおやつタイムを邪魔するほどではないかと。緊急を要する怪我ではないですし。ちょうどそこの棚に包帯があるので、お借りすることにします」
「まぁ、後で報告すればいいか……」

 首筋を掻くディオスの前で、エメロードはテキパキと自分の指に包帯を巻いていく。
 あっという間に手当て終了である。

「あら、見てくださいご主人様。ベッドがありますよ」
「うん、そうだな。これは病人のためのベッドだな」
「ところで私、血を流しすぎてフラフラしてきました。ご主人様と一緒に寝たら治るかと」
「いや、血が出たのって指先だけだろ!? 露骨すぎるわ!」
「ええー。せっかく『誰もいない保健室』という美味しいシチュエーションなのですし、ここは存分に堪能しましょうよ。制服姿の私を激しく乱しても良いのですよ?」
「そんなことをしたら、俺の学院生活終わるからな!?」
「うふふ。バレなければ大丈夫です」
「ぎゃあッ!?」

 エメロードは蔦を駆使して、ディオスを強引にベッドまで運ぶ。そしてすかさず、ディオスの体を押し倒した。
 起き上がろうにも、既にディオスの手首は蔦でベッドに固定されてしまっていた。
 対応が慣れている。強い。
 エメロードはディオスの上で、制服のブラウスのボタンを外していく。
 白い鎖骨と柔らかそうなお腹が露わになったところで、エメロードはさらにディオスの上に覆い被さってきた。

「ご主人様。最近共鳴術の方がご無沙汰でしたので、私少し辛かったです……」

 ディオスの体をさわさわと撫でながら、首筋に熱い吐息を吹きかけるエメロード。
 彼女の柔らかさを全身で受け止めていたディオスの内なる何かが、ゴリゴリと削られていく。

「……ディー君。何やってんの?」

 突然保健室内に響いたのは、聞き覚えのある静かな声音。
 いや、ディオスのことを『ディー君』と呼ぶ人間は一人しかいないわけで。
 ギギギと首を回すと、やはりファルルが入り口に立っていた。両手いっぱいに何かの資料を抱えているので、おそらく手伝いの一環なのだろう。最悪なタイミングで遭遇してしまった。

「あらあら。これからが良いところでしたのに。邪魔が入ってしまいました」

 がっかりしながらディオスから下りるエメロード。
 エメロードの淫らな格好を見たファルルのこめかみが、ピクピクと動いている。

「いや、ファルル……違うんだ……。これには深いワケがあって……」
「誰もいない保健室で服を半分脱いだ状態の『深いワケ』ねえ?」

 しばし見つめ合う二人。いたたまれなくなったディオスの額から、冷や汗が流れ出す。

「ご主人様。ここは一度退散しましょうか」
「だな……」

 ここで、ファルル以外の人間までやって来たらたまらない。
 ディオスの心はエメロードと一つになった。誠に遺憾であるが。

「えいっ!」

 気合いの声と同時に、エメロードの背から数本の蔦が伸び、たちまちファルルの体に絡み付く。
「わああっ!? エメロードちゃん! ちょっとそこは、あっ……やめっ……! ひゃぁん!?」

 エメロードの蔦は、ファルルの全身を容赦なく攻め続ける。息つく暇も与えないエメロードの蔦攻撃により、ついにファルルは膝をガックリと付いてしまった。

「すまんファルル……!」

 ディオスたちはくったりとするファルルを置いて、保健室から猛ダッシュで逃げ出すのだった。
 その翌日、ファルルにこってりとしぼられてしまったのは言うまでもない。










これ、なんで没になったんだっけ……(たくさんあるので記憶が曖昧に)
確か「最後のファルルのくだりがちょっと長い」だったっけ……。
というか別によくない? 本編では見られないような場面を見られるのがおまけの醍醐味なんじゃないの?
本編で活躍が薄かったキャラをここでちょっとでも補完したかったんだけどあかんの?
そもそも本編じゃないのに毎度えっちぃ要素入れないといけないのはなんでやねん。
……ということを思ったりしたんだけど、今さら言っても遅いしなぁ。
次も機会があれば主張してみよう。

いかん、ちょっと愚痴っぽくなってしまった。
まぁ、担当さんどうせここ見てないだろうしええやろ(ノ)´∀`(ヾ)

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2018.12.09