前回同様、3巻の没SSです。
まさか学園ものを書くことになるとは思ってなかったので、全然勝手がわからんかったのです……。












『放課後、東校舎の裏で待っています。』

 そう一行だけ書かれた手紙が、ディオスのロッカーの中に入っていた。

「これ、何だろう……」

 手紙を見ながら困惑するディオス。
 神獣たちは興味津々にディオスを囲み、その手紙をのぞき込む。

「うーん……。ディオスに文句を言いたい生徒がいるんじゃない? やっぱりペディエみたいに、ディオスのことを良く思っていない生徒もいるだろうし」
「わざわざ人目につかない校舎の裏に呼び出して? うわ、それ怖すぎなんだけど……」
「ご主人様もレイナさんも鈍いですね。これは愛の告白イベントというやつです」
「うんうん、ルヴィもそう思うよー」
『なっ――!? 告白!?』

 エメロードとルヴィの言葉に、ディオスとレイナは同時に声を上げて顔を赤く染める。


「そうです。むしろそれ以外に何かあるとは思えないのですが」
「ていうか、もうその放課後じゃん。急いで行った方がいいよディオっち」
「え? いや、でも――」
「例えその気がなくても、すっぽかすよりは誠実にお答えする方が良いと思うのです。きっとその生徒さんにとっても、甘酸っぱい青春の一ページとなることでしょう」
「俺が断ることは前提なんだ……」
「……もしかして……了承して……付き合う気なの……?」
「いや、それはないけど……。そうだな。こんな手紙を用意してくれたほどだし、それにはちゃんと応えないとな……」

 誰かはわからないが、その気持ちは素直に嬉しい。
 ディオスは手紙を握りしめ、指定された校舎の裏へと向かうのだった。



 指定された場所に着いたが、まだ誰もいない。
 ひとまず神獣たちはディオスから離れ、側の茂みに姿を隠した。

「ちょっと緊張するな……」

 思えば、誰かから告白なんてされたことがない。ディオスの心臓は否が応にも速度を上げて打ち始める。
 そして待ち始めて数分経った頃――。

「ちょっと!? 何であんたがここにいるのよ!?」

 金切り声に振り返ると、そこにはペディエがいた。

「いや何でって、手紙で呼び出されたから来たんだけど……。もしかして告白しようとしたの、ペディエだったのか?」
「なっ!? だ、誰があんたに告白なんかするのよ!? 私だって手紙で呼び出されたからここに来たのよ! コーシカ先輩に!」
「コーシカに?」
「そうよ! だってこの手紙を貰ったんだもん!」

 そう言うとペディエはポケットから手紙を出し、ディオスの鼻先まで近付けて見せつけてくる。

『放課後、東校舎の裏で待っています。コーシカ』

 確かに手紙にはそう書いてある。だが、その手紙を見た瞬間ディオスは眉根を寄せた。

「誰から貰ったんだ?」
「クラスメイトの子よ」

 ディオスは無言のまま、自分のロッカーに入っていた手紙をペディエに見せる。
 ペディエは最初こそ怪訝な顔をしていたが、その手紙を見るや否や目を見開いた。

「え……? 筆跡が同じだ……」
「どうやらこれは……嵌められたようですわね、ペディエ」

 ペディエの肩に乗っていたエンスタは、少し嬉しそうに校舎の陰に視線を送る。
 そこには、数人のクラスメイトがひょっこりと顔を覗かせ、こちらを窺っていた。

「あ、ばれた?」
「ごめんねペディエー。これでちょっとでもディオスさんと仲良くなれるかなーと思って」
「そういうことー! じゃああとはごゆっくりー!」

 クラスメイトたちはキャッキャとしながら走り去っていく。

「んなっ!? 余計なお世話よー!」

 絶叫するペディエだったが、クラスメイトたちはさらにキャッキャと喜ぶだけだった。
 ペディエは悔しそうにフンと鼻を鳴らしてから、ディオスに向けてとある物体をおもいきり投げつけてきた。

「おわっと!?」

 受け止めたディオスの手には、ふかふかした美味しそうな焼きそばパンがあった。

「えっと……これは?」
「購買で売っている、超人気のパンよ! コーシカ先輩が以前よく買っていたって聞いたから、さしあげようと思っていたんだけど。でもあの手紙は偽ものだったみたいだし……。仕方ないからあんたにあげるって言ってんの! ありがたく受け取っておきなさい!」

 そう言い捨ててから、ペディエはツカツカと去っていく。

「……相変わらず……お兄ちゃんに……きつい……」
「ふふっ。でもちょっと可愛いところがあるじゃないですか」

 ペディエの後ろ姿を見送ってから神獣たちが呟く。
 ディオスは手元に残った焼きそばパンを見ながら、小さな笑みを浮かべるのだった。











前回の没同様に、3巻のゲストキャラであるクラスメイトを出したかったんですけど。
なぜか没になりました。
ペディエの典型的なツンデレが書けたので割と気に入ってたのになぁ。

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2018.12.04