今回は3巻の没SSです。
よくよく考えたらおまけの特典SSに没を出されるって意味わかんないですけど、その分買ってくれた方が楽しんでくれてたら本望や……。














 全ての授業を終えた放課後。
 楽しそうにお喋りをしながら、教室を後にするクラスメイトたち。ディオスも勉強道具一式をまとめ、席を立とうとしていた。

「ねーディオっち。今日もまた図書室で勉強するの?」
「あまり根を詰めても体に良くありませんよ。たまには息抜きをしませんか?」
「うーん、そうだなあ……」

 学院の制服に身を包んだ神獣たちに囲まれながら、これからの予定を考えるディオス。
 そんな彼らに、ビクビクしながら近付く生徒が一人。
 極度に人間が苦手な学級委員、サヴラーハだった。

「あ、サヴラーハ。どうしたの?」

 気付いたレイナが声をかけると、他の神獣たちも振り返る。
 しかしサヴラーハはディオスの遙か前で止まると、生まれたばかりの子鹿のようにプルプルと体を震わせるばかりだった。

「あのね。今日はディオスさんが掃除当番だよって言いにきたの。ね?」

 サヴラーハの肩に乗っていたザバルガが、苦笑しながら彼女の代わりに説明をする。サヴラーハはコクンと頷くと、顔を真っ赤にしながら深く俯いてしまった。

「掃除当番?」
「……そういえば……放課後になると……誰かがやっていたような……」

 マリンの言葉に、ディオスも昨日までの放課後の光景を思い出す。
 確かに、箒を持ったクラスメイトの姿を目にしたことがある。すぐに教室を後にしていたので、見かけたのは数回だけだが。

「うん。毎日二人ずつ、順番で掃除当番を回しているの。今日はサヴラーハも当番の日だから、ディオスさんに教えてあげるって」

 サヴラーハは俯いたまま、教室の隅の方を指さした。
 彼女の指の先にあったのは、縦長の掃除用具入れ。ディオスは今まで意識していなかったので、その存在を認識していなかった。

「まぁ、教えると言ってもやることは単純よ。箒で床を掃いて、後は窓を拭いて終わりね」
「わかった。なら早速やろうか」

 掃除なら村にいた時に毎日やっていた。どちらかと言えば得意な方だ。

「ご主人様、私たちもお手伝いいたします」

 早速ディオスと神獣たちは、掃除用具入れから箒や雑巾を取り出す。
 ザバルガもサヴラーハの肩から下りて、人間形態になっていた。

「マリン、水をお願いね」
「……まかせて……」
「うふふっ。マリンさんがいるのでラクできそうですね」

 レイナとマリン、エメロードは窓拭き。残るルヴィ、ディオス、そしてサヴラーハとザバルガは掃き掃除という役割に分かれた。

「よし、パパッと終わらせましょう。サヴラーハも早く図書室に行きたいだろうし」

 ザバルガのひと声で、皆は一斉に動き出した。
 マリンが窓にそっと水を放ち、レイナとエメロードが丁寧に拭いていく。
 ディオスとルヴィは教室の端から箒で床を掃き、サヴラーハとザバルガは彼らと逆の方向から進み、作業効率を上げる作戦だ。

「しっかし、こうやって見ると教室って結構広いんだねー」

 箒を動かしながら、不意にルヴィが呟く。
 彼女の言葉につられ、ディオスは改めて教室の中を見回した。
 自分たち以外誰もいない、がらんとした教室の中。
 人がいないだけで、授業を受けていた時とは別の空間のように広く見える。
 しかし、どうやら目の錯覚ではないようだ。
 教室の端から端まで掃く――という単純な作業だが、なかなかに大変であった。

「ディオスさんたち、大丈夫ですか?」
「ああ……って、ザバルガたちはもうそこまで進んでいるのか。早いな」

 さすがに慣れているのか、サヴラーハとザバルガは既にディオスたちの倍ほど進んでいた。

「ふふっ。じゃあ今日は特別ね。ここは私に任せて」

 ザバルガが指を鳴らすと、彼女の前に極小サイズの竜巻が出現した。
 小さな竜巻は教室の中を移動し、まだ手に付けていない場所のゴミを吸い込みながら進んでいく。

「おおー!? ザバるんすごいじゃん」
「風の力を掃除に使えるのか。便利だな……」

 感嘆の声を上げるルヴィとディオスのそばを横切り、竜巻はさらに進んでいく。
 が、竜巻が窓際に移動したその時、事件は起きた。
 竜巻の風が、窓拭きをしていた三人の神獣たちのスカートの裾を、ふわりと舞い上げたのだ。

「――――!」

 ディオスの目に飛び込んで来たのは、神獣たちの形の良いお尻と、それを保護する三角形の布――。

「おー。これは絶景かな」

 変に感心するルヴィとは対照的に、慌てて制服のスカートを押さえる神獣たち。


「にゃあああッ!?」
「…………っ!?」
「あらあら。イタズラな風さんです」

 顔を真っ赤にしたレイナが、キッとディオスを睨んでくる。

「ディオス、見たわね!?」

 見てない、とは言えなかった。むしろバッチリ見てしまった。

「あっ、あの、すみません! 今のは私のせいです!」

 ザバルガが慌てて頭を下げたので、ひとまずそれ以上追求されることはなかった。
 しかしディオスの脳裏には、日の光に照らされた神獣たちの眩しい下着がしっかりと焼き付いてしまっていて――。
 しばらくの間、ディオスは一人で悶絶するのだった。












主人公が直接絡んでない、という理由で没になったやつ。
「何でや。ええ思いしてるやんけ」と個人的には納得いかなかったんですが、こうしてブログのネタにはできたのでまぁ結果オーライかな……。

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2018.11.30